エル・マールまいづるからの風景

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 写真は2007年10月23日、エル・マールまいづるから対岸の舞鶴湾港西岸方向を写したもの。撮影しているうちに北から海上保安庁の巡視船が現れ、湾内へと消えていった。

 舞鶴湾の湾口東岸、市街地からは遠く離れた千歳という村の岸壁に、なぜか巨大な豪華遊覧船が停泊している。よく見ると桟橋が固定されているこの船は、遊覧することのない展示船なのである。
 千歳の北隣、大丹生(おおにゅう)には、関西電力の最新鋭石炭火力発電所がある。「エル・マールまいづる」は関電のPRを兼ねた観光施設として、発電所操業開始と同じ2005年に開設されたものなのだそうだ。
 船内には、ひとむかし前の豪華客船を再現したフロアーや、舞鶴の歴史や文化を紹介するコーナー、プラネタリウムまである。制服を着た若い女性数人が、受付や案内、プラネタリウムの解説も務めていて、親切で礼儀正しく、態度もてきぱきとしていて好感が持てた。ただ、平日ということもあって来館者は少なく、プラネタリウムの上映は私とつれの二人で貸し切り状態だった。
 東舞鶴市街から発電所にかけての道々には、あちこちに道案内?のガードマンが立っている。この人たちや、エル・マールの女性たちは、おそらく地元住民の皆さんなのだろう。関電の地元対策、雇用対策という意味合いもあるのかもしれない。
 場所柄に不似合いな豪華船の姿に最初はぎょっとしたものの、入ってみると案外楽しめた。しかしながら、やはりこの施設は、バブル期に各地に造られ破綻した珍妙なテーマパーク群を思い起こさせる。巨大電力資本のおかげで、この模擬豪華船が破綻することはないが(そもそも採算不要、入場料も無料)、こういう構図でしか地域経済や雇用が成り立っていかない事実は、やはり哀しい。

 プラネタリウムを観たあと、隣のレストランにある販売コーナーで、舞鶴名物海軍カレーのレトルトと、安い野菜をしこたま買い込んで帰途についた。